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介護老人保健施設、通称「老健」は、入居者が在宅復帰することを目的とした介護施設です。介護施設というと、特養のように入居者が人生の最期まで介護を受けながら生活を送るイメージがあります。しかし、老健は最終的に入居者が自宅に戻り日常生活を送れるように支援するものです。これは介護保険法にも定義されており、老健には医師や看護師、介護士、管理栄養士などの様々な専門家が在籍して、それぞれの入居者に合ったサービスを提供しています。
老健は機能訓練を実施するための設備が充実しています。リハビリベッドや筋力トレーニングマシン、平行棒、レッドコードなど、細かい設備の内容は施設によって異なりますが、入居者の状態に応じた機能訓練の実施が可能です。また、機能訓練室では折り紙や手芸などの趣味やクラブ活動を行うことも可能で、様々な活動の場としても機能しています。
老健は医師が常勤しており、医療ケアを受けられる点が最大の特徴です。例えば、特養には医師が在籍していても常勤しているケースは少なく、医療行為は原則として受けられません。そもそも老健の管理者になれるのは医師免許を持つ医師に限られています。加えて、配置される医師の人数は入居者100人につき1人と決められており、看護師が24時間常駐しているケースも少なくありません。容態の悪化や急変時にも適切な医療ケアを即座に受けられる点は、老健の大きな強みといえます。
また、理学療法士や作業療法士などのリハビリ職が配置されている点も、他の介護施設にはない特徴です。入居者1人ひとりの状態に合わせて機能訓練を実施するので、早期の在宅復帰が期待できます。状態によっては入居せず在宅でリハビリを受けることも可能で、その場合は通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションなどのサービスを提供します。
老健で働くメリットは、リハビリを通じてこれまで実施してきたことに対する成果が目に見えて分かる点です。それがやりがいにつながり、モチベーションを維持できます。医師や看護師、リハビリ職と連携して仕事をするので、幅広い知識が身につく点もメリットの1つです。看取り介護がないので、精神的負担も少なく済みます。
ただし、在宅復帰が目的で入居者が頻繁に入れ替わるため、長期的なケアを実施することはできません。また、医師やリハビリ職に比べて、介護士の立場が弱くなってしまう傾向がある点についても注意が必要です。